NEC UNIVERGE IX(IX2105)のFWをTFTPを使用してバックアップする

投稿者: | 2021-09-04

長~い題名になりました。そのまんまです。
FWの破損やバージョンアップ時の不具合によるロールバック目的等で、現在のファームウェアをバックアップしたいことは多々ありますね。

NECのIXは、コマンドがCISCOみたいなもので、できることもCISCOっぽいです。
TFTPにも対応しているので、PCにTFTPサーバを立てればかんたんにデータの転送ができます。

今回も、備忘録として書いていますので、機器は前回スーパーリセットしたIX2105です。

とりあえずは、前回スーパーリセットしたIX2105を、コンソールケーブルでPCに接続してターミナルソフトを起動します。電源を入れるとこの通りです。
プロンプトが
Router#
になっていますので、configモードに移行するためconfig(画面ではconf)を入力してEnterを押します。
プロンプトが
Router(config)#
となれば、configモードに移行できています。
この状態で、[show flash]コマンドを入力します。
すると、内蔵フラッシュのファイルが一覧表示されます。
下の画像では、[ix2105-ms-10.2.30.ldc][ix2105-ms-10.2.34.ldc][SYSTEM-PRIVATE-KEY]の3ファイルが存在しています。
一番最後はシステムファイルですが、先の2つはいわゆるFWです。

ではまず下準備です。
TFTPを使用して、他のPCにファイルを転送するためにはIX2105をネットワークに参加させる必要があります。
何もルーターとして使用する必要はありませんので、ここはかんたんにDHCPで既存のLANに参加させます。
このIX2105は既にスーパーリセットされ、全てのコンフィグが消去されていますのでまっさらです。

まっさらなコンフィグに書き足していきます。
まずはインターフェースの設定に移動し、コンフィグを書いていきます。

Router(config)# interface GigaEthernet1.0     <<Interface GigaEthernet1.0に移動
Router(config-GigaEthernet1.0)# ip address dhcp receive-default
Router(config-GigaEthernet1.0)# no shutdown
Router(config-GigaEthernet1.0)# exit     <<interfaceの設定から出る
Router(config)#

書き込んだら、[write memory]コマンドでコンフィグを保存します。

[show config]コマンドで、コンフィグを確認します。

しっかり反映されています。OKですね。

念の為、[reload]コマンドで再起動を掛けます。

再起動の最終確認をされますので、[Y]で再起動します。

再起動しました。
[conf]でconfigモードに移行します。

IX2105のGE1(GigaEthernet1.0)にLANケーブルを差し込み、少し待ちます。
その後で、[show ip address]コマンドでIX2105のIPアドレスを確認します。
今回は、テスト環境に用意したDHCPで192.168.3.55が割り当てられました。

なお、ここまでの手順は初期化されているIXの場合で、既にネットワーク上で運用されているIXの場合等はそのままここから下の手順を踏めばOKです。


続いてTFTPサーバを建てるPCです。
こちらのIPアドレスは今回は192.168.3.30になります。

このPCには、TFTPサーバのソフトをインストールします。
今回はその名の通り、[TFTPサーバー]というソフトを使用しています。
基本的にインストールするだけで、特に設定はなくても動作します。

PC側にTFTPサーバが用意できたところで、IX2105から操作します。
configモードに移行し、[show flash]コマンドでflash内を確認します。
最初に確認したとおり、
[ix2105-ms-10.2.30.ldc]
[ix2105-ms-10.2.34.ldc]
[SYSTEM-PRIVATE-KEY]
の3ファイルが存在しています。今回は [ix2105-ms-10.2.34.ldc] をTFTP経由でバックアップします。

Router(config)# tftp put ix2105-ms-10.2.34.ldc 192.168.3.30:ix2105-ms-10.2.34.ldc

(書式)
TFTP PUT [送り元ファイル名] [TFTPサーバアドレス]:[送り先ファイル名]

Enterを押すと、TFTPでの転送が開始します。完了まで少し待ちます。

ちなみに接続が成功し転送が始まると、PC側のTFTPサーバにも表示されます。

完了すると
TFTP transfer complete, …….というメッセージが表示され、プロンプトに戻ります。

TFTPサーバソフトの、デフォルトルートは
Cドライブ直下の[TFTP-Root]フォルダです。開いてみると、ldcファイルがバックアップできている事がわかります。

先までの操作で、TFTPによるファームウェアのバックアップはできたわけですが、戻せないと意味がありません。
今度は逆に、TFTPサーバにあるファームウェアをIX2105に戻してみます。

同じファイル名だと色々おかしいので、ファイル名はテスト用に[hogehoge.ldc]としました。
IX2105に転送したいファイルをTFTPサーバのルートに配置します。

そしてIX2105で、configモードに移行してコマンドを入力します。

Router(config)# tftp get 192.168.3.30:hogehoge.ldc hogehoge.ldc

(書式)
TFTP GET [TFTPサーバアドレス]:[受信するファイル名] [保存ファイル名]

コマンドを入力してEnterを押すと、転送が始まります。

あとは待つだけ…だったのですが、内蔵flashにファームウェアが既に2つ入っていて、flashがいっぱいのようでエラーが出ました。

仕方ないので、内蔵Flashのファイルを1つ削除します。が、
右側にStatus表記があります。
M:メインのプログラムファイル
B:バックアップのプログラムファイル
A:現在起動中のプログラムファイル
[ix2105-ms-10.2.30.ldc]はB、[ix2105-ms-10.2.34.ldc]はMAなので、Bの方は削除しても問題ないですね。

※Statusは他にもありますが、詳細はコマンドリファレンスで。

Router(config)# erase ix2105-ms-10.2.30.ldc

(書式)
erase [削除するファイル名]

Enterを押すと、削除が始まります。

削除が完了したら、確認の為再度[show flash]コマンドで内蔵フラッシュを確認します。
しっかり削除されていますね。

気を取り直して、再度[tftp get]コマンドでFWをTFTPから転送します。
今回は無事完了しました。

[show flash]で、内蔵フラッシュを確認するとしっかりと[hogehoge.ldc]がダウンロードされています。

ここまでで、無事にTFTPサーバからファームウェアを書き戻したわけですが、このファームウェアは内蔵フラッシュにダウンロードされただけで、このままでは使用されません。
このファームウェアで起動することを明示するため、[software-select]コマンドを使用します。

Router(config)# software-select hogehoge.ldc

(書式)
software-select [次回以降起動に使用するFWファイル名]

コマンドを実行し、もう一度[show flash]で確認すると、[hogehoge.ldc]のStatusの右側にR*の記載があります。
*がついていれば、指定は成功しています。

再起動する前に、現在使用しているファームウェアファイルを[show ver]コマンドで確認すると
[System image file is “ix2105-ms-10.2.34.ldc”]となっており、まだ変更されていません。

ここで[reload]コマンドで再起動します。
再起動したら、再度[show ver]コマンドで確認します。
[System image file is “hogehoge.ldc”]となっていたら完了です。

これでTFTPサーバを使用したファームウェアのバックアップ&リストア、起動ファームウェアの選択は完了です。

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