さて、前回Aironet3702のIOSを自立型に書き換えました。
その際、flashをフォーマットして書き換えましたが…。
フォーマット後のまっさらなflashのまま、電源切っちゃった!とか、IOSのファイル壊しちゃって起動しなくなった!とか、色々あると思います。
(そうそうないか)
CiscoのAironetには、IOSというパソコンで言うところのWindowsOSが動作していますが、その上にはBIOS/UEFIに当たるBootLoaderがあります。
今回はIOSを飛ばして(flash内まっさら)、BootLoaderしか起動しない状態からIOSを展開していきます。
IOSが存在している状態で起動すると、BootLoader→IOSの順で起動し、プロンプトは
ap> もしくは ap#(enableモード)と表示されます。
(注:以下の画像では、AP名が変わっています)
show flash: もしくは dirコマンドで、flash内のファイルを確認してみます。
現状では、IOSがflashに存在しています。
先のPart1でも使用した、delete /force /recursive flash:コマンドでflash内を削除します。
reloadコマンドで再起動するとこの通り。
IOSがflashに存在しませんので、BootLoaderだけで止まります。
いわゆるROMMON(ROMモニター)モードです。
verコマンドでバージョンを確認しても、BootLoaderのバージョン表示のみでIOSのバージョン等は表示されません。
このモードでは、プロンプトがap:となっており、使用できるコマンドも限られています。dir flash:でflash内を確認すると、綺麗サッパリ、何もありません。
IOSの起動していない状態からファイルを転送するには、
1.Xmodem転送
2.TFTP転送(対応している場合)
のどちらかになります。
1のXmodem転送は、コンソールからの転送となり相当時間がかかります。
標準設定だと9,600bpsなので、効率が100%だとしても1秒間に1200Byte、1.2KByteしか転送できません。1分で72KByte、1時間で4,320KBとなります。
今回のAironet 3702のIOSのtarファイルは、おおよそ14MB前後ですので3時間くらいかかる計算になります。
一応、ボーレートを変更すれば多少早くなりますが、まぁ知れています。
(実験したところ、115,200bpsまではいけるようです。)
が、遅いのでやっていられません。
そこで2のお馴染みTFTP転送を使用します。
同じネットワークセグメント上にTFTPサーバを用意し、転送するIOSファイルをTFTPのルートに配置するのは通常と同じです。
ROMMONモードでは、通常のコマンドがほぼ使用できませんので、以下のコマンドでAPに設定していきます。
DEFAULT_ROUTER=192.168.3.70(TFTPサーバのアドレス)
IP_ADDR=192.168.3.2(当APに設定するIPアドレス)
NETMASK=255.255.255.0
これだけ打ち込めば、準備は完了です。
setコマンドを打ち込むと、設定した内容が一覧表示されます。
以下はsetコマンドで確認した状態です。
上記設定が済んだら、いよいよTFTPでIOSを流し込み、展開します。
tarコマンドを使用します。
tar -xtract tftp://192.168.3.70/ap3g2-k9w7-tar.153-3JPJ4.tar flash:
実行すると、進んでいきます。
結構時間かかりますので、待ちます。
プロンプトがap: に戻れば展開は完了です。
dir flash:でflash内のファイルを確認します。
無事展開されているようですね。
展開完了後、set BOOTコマンドで起動するIOSファイルを指定します。
書式:set BOOT flash:/<IOS File Name>/<IOS File Name>
set BOOT flash:/ap3g2-k9w7-mx.153-3.JPJ4/ap3g2-k9w7-mx.153-3JPJ4
設定が完了したら、setコマンドで設定を確認します。
先程設定したIPアドレスなども表示されていますが、今設定したset BOOTもしっかり設定されていることが分かります。
ここまで確認したらbootコマンドでIOS起動シーケンスに入ります。
暫く待つと、無事起動しました。
プロンプトがap:からap>になり、ROMMONモードではないことが分かります。
show verコマンドで見てみると、しっかりIOSが展開され起動しています。
あとはWebGUIで設定するなり、コンソールで設定するなりです。
ROMMONモードからの復帰も覚えておくと、IOSを触るときもコンフィグを試すときも怖いものはありませんね。